他のブログやYouTubeなどで解説されない【米国高配当ETF】『VYM』『HDV』『SPYD』の本質比較

ETF

『VYM』『HDV』『SPYD』の概要

(2023.6.27時点)

『VYM』『HDY』『SPYD』を

それぞれ、一言で表現するなら

『VYM』…「よく分散された正統派」

『HDV』…「手間をかけたクセ者」

『SPYD』…「手っ取り早く高配当!」

賛否両論あるとは思いますが、私は、そう感じています。

こんにちは!タクドラたみです♪

2023年、高配当株ETFは「VOO」など、S&P500に連動するインデックスファンドに対し、アンダーパフォームしています。

ですが、株は安く買うことで、大きなリターンを狙えるものです。

つまり、高配当株ETFは、不調の今こそ、注視する必要があると言えます。

そこで、今回は、日本で人気の米国株ETF

「『VYM』『HDV』『SPYD』が、どのようにして作られているのか?」

をテーマに、それぞれのETFの本質に迫ろうと思います。

本質を理解していることで、これらのETFの情報が入ってきた際、理解が深まると思います。

考え方がわかれば、案外、簡単です!

尚、本記事は、各ETFの目論見書などをもとに作成しています。

各ETFの銘柄選定方法

では、ETFの設定が古い順に見ていきましょう!

『VYM』の銘柄選定(2006年設定)

① 米国に上場している全世界株(約9,000社、VTのイメージでOK)の中から、銘柄を選んでいます。

② リート(不動産)と、無配銘柄(無配銘柄になりそうなものを含む)を除外。

③ 残った銘柄から、将来の配当率の高い銘柄の中のうち、市場価値が平均以上の銘柄を上から選んでいきます。

④ 結果、相対的に、市場平均より高い配当利回りの、約400社が選ばれます。

⑤「VYM」の構成比は、その約400社の、市場価値加重平均です。

⑥ 組み入れ銘柄のリバランスは、年1回。

⑦ 経費率 0.06%/年。

と、いうのが「VYM」ですが、超意訳しザックリ表現すると、以下の通り感じです。

ざっくり『VYM』

米国株式市場の銘柄から、不動産を外し、平均以上の配当金を出している企業をピックアップし、大企業に大きな比重をおいた、王道かつ正統派ETF。

※ワンポイント!

配当率とは、資本金に対する配当金額の割合。

株主への利益還元の度合い。

『HDV』の銘柄選定(2011年設定)

① 全米株式(約3,500社、VTIのイメージでOK)の中から、銘柄を選んでいます。

リート(不動産)と、無配銘柄(無配銘柄になりそうなものを含む)を除外。

(ここまでは、ほぼ『VYM』と同じ)

③ 残った銘柄から、クオリティの低い企業と、将来的に財務健全性の低いと予測される銘柄を除外します。

(『HDV』の一つ目の特徴)

④ そこから、順に、配当率の高い75銘柄を選びます。

(『VYM』より厳選された銘柄)

⑤「HDV」の構成比は、その75社の、支払配当総額加重平均です。

(これが『HDV』がクセのあるETFと言われているポイント)

⑥ 組み入れ銘柄のリバランスは、年4回。

⑦ 経費率 0.08%/年。

と、いうのが「HDV」ですが、これも、超意訳し、ザックリいうと、こんな感じです。

ざっくり『HDV』

米国株式市場の銘柄から、不動産を外し、平均以上の配当金を出している企業をピックアップし、大企業に大きな比重をおいたETF。

【『HDV』と『YYM』の比較】

ブラックロック社の『HVD』は、バンガード社の『VYM』より、5年、後にできたETF。

私は、後発の『HDV』は『VYM』に対抗するETFのため、より組み入れ銘柄を厳選している感じます。

さらに『HDV』は、リバランスを年4回することで、リバランス年1回の『VYM』より高いクオリティーを維持しようとしているように思えます。

ただ、そのリバランス(ファンド内の株の売買)を多くすることで、経費率が、0.08%と『VYM』の0.06%と誤差レベルですが、高くなったのではと感じてます。

また『HDV』は、配当金を多く出す企業の割合を多く設定しています。

配当金を、より多く出す企業は、成熟企業が多い傾向で、株価の上昇は若い企業に劣りやすいです。

そのため『HDV』は『VYM』に対し、分配金が多い傾向ですが、株価の上昇は『VYM』に負ける傾向です。

さらに、配当金を多く出す企業は、エネルギー株や生活必需品といった、ディフェンシブ銘柄が多く『HDV』は、それらのセクターに偏っているので「クセのあるETF」と言われています。

『SPYD』の銘柄選定(2015年設定)

① S&P500(約500社、VOOのイメージでOK)の中から、配当率の高い上位75銘柄を機械的に選びます。

② リート(不動産)を除外しません。

③ 選んだ75銘柄を、リバランスの際、1.25%ずつ均等に組み入れます。

④ 組み入れ銘柄のリバランスは、年2回。

⑤ 経費率 0.07%/年。

と、いう超シンプルなのが『SPYD』ですが、意訳しザックリ表現すると、以下の通り感じです。

ざっくり『SPYD』

S&&500の銘柄から、不動産を除外せず、配当金を多く出している銘柄を、機械的に、上位75銘柄ピックアップし、均等に組み入れた、高配当を目指したシンプルなETF。

【『SPYD』の特徴】

3つの高配当ETFの中で、最後発なのが『SPYD』です。

『SPYD』は、当然ですが、先の2つのETFに負けられません。

そこで、分配金の比較的多い「リート(不動産)」を組み入れたと考えられます。

しかし「リート」景気に左右されやすい特徴があり、安定感に欠けます。

そそらく「VYM」「HDV」は、それゆえに「リート」を除外したのだと考えられますが、後発の「SPYD」は、そのリスクをあえて取り「リート」を組み入れたように思えます。

『SPYD』の別の特徴は、上位組み入れ銘柄が、随時、入れ替わる点です。

直近、株価が値上がりした銘柄が、上位組み入れ銘柄になるので『SPYD』の上位組み入れ銘柄は、ほぼ気にする必要はないと思います。

そんな『SPYD』ですが、優良銘柄とかを、全く考えないタイプの銘柄なので、個人的には「S&P500」の中から選定されていて良かったと思っています。

仮に、全世界9,000銘柄から選ぶと、配当金だけ高いポンコツ銘柄が、超優良銘柄と同じ比率で混ざってしまうので、恐ろしいETFになると思われるからです。

上位組み入れ銘柄比較

上述した通り『SPYD』の上位組み入れ銘柄は、入れ替わりが激しいので『VYM』と『HDV』のみ添付します。

表の字が小さくなりましたが、比較しやすいように、1枚の図にしました。

Bloomberg より 筆者編集(2022/8/27)

上位10銘柄の内、半分が被っています。

そして、この2つのETFの違いは『VYM』の、市場価値加重平均と『HDV』の支払配当総額加重平均で、上位10銘柄のウエイトに大きな差があることです。

これが『VYM』と『HDV』の大きな違いのポイントです!

だからこそ『HDV』は「手間をかけたクセ者」なのです。

『VYM』は、上位10銘柄で約1/4ですが、『HDV』は、約1/2です。

このことから『VYM』の方が分散されていることが分かります。

セクター比較

「VYM」「HDV」「SPYD」目論見書より
筆者編集(2022/8/27)

それぞれ10~11のセクターの構成比です。

上位4セクターのウエイトを見ると『VYM』が約55%、『HDV』が約70%、『SPYD』が約60%と、やはり『VYM』が、よく分散されています。

このことから十分分散され、クセのない「VYM」は、これ1本で完結できる優等生といった感があります。

次に、セクターローテーションと『HDV』『SPYD』の上位3セクターを見ていきます。

セクターローテーション
SBI証券 より
上の表の切り取りコピー

これを見ていただけると分かりやすいですが『HDV』『SPYD』の上位3セクターは、きれいに被っていません。

また、それぞれ3セクターで、ETFの50%以上のウエイトを占めています。

そして、セクターローテーションの図と合わせて見ると「HDV」は、景気が悪い局面で強い傾向のセクター比率が高く『SPYD』は景気が良い局面で強い傾向のセクター比率が高いことが分かります。

つまり、クセのある「HDV」と「SPYD」を合わせ持つことで、安定した長期投資が可能になりやすいのです。

上位組み入れ銘柄や

セクター比率から分かる事

① 広く市場価値加重平均で分散された『TYM』は、これ1本で安定した運用が期待できる。

② クセのある『HDV』と『SPYD』は、合わせ持つことで安定した運用が期待できる。

まとめ

『VYM』『HDY』『SPYD』を

それぞれ、一言で表現するなら

『VYM』…「よく分散された正統派」

『HDV』…「手間をかけたクセ者」

『SPYD』…「手っ取り早く高配当!」

冒頭の繰り返しですが、私は、今のところ、この3つのETFの本質的な意味を汲んだ上で、それぞれを、一言で表現するなら、この言葉が、一番しっくりきています。

みなさんは、どうでしょうか?

もっと、いい表現があれば、是非、コメントお願いします。

最後に

・最後まで読んで下さり、本当にありがとうございます。

・本記事では、それぞれのETFの本質的な考え方をテーマにしました。

最新実績など数字を踏まえた上での、ETFの比較についての記事は、今後、更新します。

・また、私の知識や表現力がアップデートしたり、最新の情報が更新されれば、本記事も、随時、リライト更新します。

・そして、この記事が、読まれた方の、投資などの参考になれば嬉しいです。

・当記事は、2022年8月、私の別のブログの記事をリライトしたものです。

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