『VYM』『HDV』『SPYD』の概要
『VYM』『HDY』『SPYD』を
それぞれ、一言で表現するなら
『VYM』…「よく分散された正統派」
『HDV』…「手間をかけたクセ者」
『SPYD』…「手っ取り早く高配当!」
賛否両論あるとは思いますが、私は、そう感じています。
こんにちは!米 株次郎です♪
2023年、高配当株ETFは「VOO」など、S&P500に連動するインデックスファンドに対し、アンダーパフォームしています。
ですが、株は安く買うことで、大きなリターンを狙えるものです。
つまり、高配当株ETFは、不調の今こそ、注視する必要があると言えます。
そこで、今回は、日本で人気の米国株ETF
「『VYM』『HDV』『SPYD』が、どのようにして作られているのか?」
をテーマに、それぞれのETFの本質に迫ろうと思います。
本質を理解していることで、これらのETFの情報が入ってきた際、理解が深まると思います。
考え方がわかれば、案外、簡単です!
尚、本記事は、各ETFの目論見書などをもとに作成しています。
各ETFの銘柄選定方法
では、ETFの設定が古い順に見ていきましょう!
『VYM』の銘柄選定(2006年設定)
① 米国に上場している全世界株(約9,000社、VTのイメージでOK)の中から、銘柄を選んでいます。
② リート(不動産)と、無配銘柄(無配銘柄になりそうなものを含む)を除外。
③ 残った銘柄から、将来の配当率の高い銘柄の中のうち、市場価値が平均以上の銘柄を上から選んでいきます。
④ 結果、相対的に、市場平均より高い配当利回りの、約400社が選ばれます。
⑤「VYM」の構成比は、その約400社の、市場価値加重平均です。
⑥ 組み入れ銘柄のリバランスは、年1回。
⑦ 経費率 0.06%/年。
と、いうのが「VYM」ですが、超意訳しザックリ表現すると、以下の通り感じです。
※ワンポイント!
配当率とは、資本金に対する配当金額の割合。
株主への利益還元の度合い。
『HDV』の銘柄選定(2011年設定)
① 全米株式(約3,500社、VTIのイメージでOK)の中から、銘柄を選んでいます。
② リート(不動産)と、無配銘柄(無配銘柄になりそうなものを含む)を除外。
(ここまでは、ほぼ『VYM』と同じ)
③ 残った銘柄から、クオリティの低い企業と、将来的に財務健全性の低いと予測される銘柄を除外します。
(『HDV』の一つ目の特徴)
④ そこから、順に、配当率の高い75銘柄を選びます。
(『VYM』より厳選された銘柄)
⑤「HDV」の構成比は、その75社の、支払配当総額加重平均です。
(これが『HDV』がクセのあるETFと言われているポイント)
⑥ 組み入れ銘柄のリバランスは、年4回。
⑦ 経費率 0.08%/年。
と、いうのが「HDV」ですが、これも、超意訳し、ザックリいうと、こんな感じです。
【『HDV』と『YYM』の比較】
ブラックロック社の『HVD』は、バンガード社の『VYM』より、5年、後にできたETF。
私は、後発の『HDV』は『VYM』に対抗するETFのため、より組み入れ銘柄を厳選している感じます。
さらに『HDV』は、リバランスを年4回することで、リバランス年1回の『VYM』より高いクオリティーを維持しようとしているように思えます。
ただ、そのリバランス(ファンド内の株の売買)を多くすることで、経費率が、0.08%と『VYM』の0.06%と誤差レベルですが、高くなったのではと感じてます。
また『HDV』は、配当金を多く出す企業の割合を多く設定しています。
配当金を、より多く出す企業は、成熟企業が多い傾向で、株価の上昇は若い企業に劣りやすいです。
そのため『HDV』は『VYM』に対し、分配金が多い傾向ですが、株価の上昇は『VYM』に負ける傾向です。
さらに、配当金を多く出す企業は、エネルギー株や生活必需品といった、ディフェンシブ銘柄が多く『HDV』は、それらのセクターに偏っているので「クセのあるETF」と言われています。
『SPYD』の銘柄選定(2015年設定)
① S&P500(約500社、VOOのイメージでOK)の中から、配当率の高い上位75銘柄を機械的に選びます。
② リート(不動産)を除外しません。
③ 選んだ75銘柄を、リバランスの際、1.25%ずつ均等に組み入れます。
④ 組み入れ銘柄のリバランスは、年2回。
⑤ 経費率 0.07%/年。
と、いう超シンプルなのが『SPYD』ですが、意訳しザックリ表現すると、以下の通り感じです。
【『SPYD』の特徴】
3つの高配当ETFの中で、最後発なのが『SPYD』です。
『SPYD』は、当然ですが、先の2つのETFに負けられません。
そこで、分配金の比較的多い「リート(不動産)」を組み入れたと考えられます。
しかし「リート」景気に左右されやすい特徴があり、安定感に欠けます。
そそらく「VYM」「HDV」は、それゆえに「リート」を除外したのだと考えられますが、後発の「SPYD」は、そのリスクをあえて取り「リート」を組み入れたように思えます。
『SPYD』の別の特徴は、上位組み入れ銘柄が、随時、入れ替わる点です。
直近、株価が値上がりした銘柄が、上位組み入れ銘柄になるので『SPYD』の上位組み入れ銘柄は、ほぼ気にする必要はないと思います。
そんな『SPYD』ですが、優良銘柄とかを、全く考えないタイプの銘柄なので、個人的には「S&P500」の中から選定されていて良かったと思っています。
仮に、全世界9,000銘柄から選ぶと、配当金だけ高いポンコツ銘柄が、超優良銘柄と同じ比率で混ざってしまうので、恐ろしいETFになると思われるからです。
上位組み入れ銘柄比較
上述した通り『SPYD』の上位組み入れ銘柄は、入れ替わりが激しいので『VYM』と『HDV』のみ添付します。
表の字が小さくなりましたが、比較しやすいように、1枚の図にしました。
上位10銘柄の内、半分が被っています。
そして、この2つのETFの違いは『VYM』の、市場価値加重平均と『HDV』の支払配当総額加重平均で、上位10銘柄のウエイトに大きな差があることです。
これが『VYM』と『HDV』の大きな違いのポイントです!
だからこそ『HDV』は「手間をかけたクセ者」なのです。
『VYM』は、上位10銘柄で約1/4ですが、『HDV』は、約1/2です。
このことから『VYM』の方が分散されていることが分かります。
セクター比較
それぞれ10~11のセクターの構成比です。
上位4セクターのウエイトを見ると『VYM』が約55%、『HDV』が約70%、『SPYD』が約60%と、やはり『VYM』が、よく分散されています。
このことから十分分散され、クセのない「VYM」は、これ1本で完結できる優等生といった感があります。
次に、セクターローテーションと『HDV』『SPYD』の上位3セクターを見ていきます。
これを見ていただけると分かりやすいですが『HDV』『SPYD』の上位3セクターは、きれいに被っていません。
また、それぞれ3セクターで、ETFの50%以上のウエイトを占めています。
そして、セクターローテーションの図と合わせて見ると「HDV」は、景気が悪い局面で強い傾向のセクター比率が高く『SPYD』は景気が良い局面で強い傾向のセクター比率が高いことが分かります。
つまり、クセのある「HDV」と「SPYD」を合わせ持つことで、安定した長期投資が可能になりやすいのです。
上位組み入れ銘柄や
セクター比率から分かる事
① 広く市場価値加重平均で分散された『TYM』は、これ1本で安定した運用が期待できる。
② クセのある『HDV』と『SPYD』は、合わせ持つことで安定した運用が期待できる。
まとめ
『VYM』『HDY』『SPYD』を
それぞれ、一言で表現するなら
『VYM』…「よく分散された正統派」
『HDV』…「手間をかけたクセ者」
『SPYD』…「手っ取り早く高配当!」
冒頭の繰り返しですが、私は、今のところ、この3つのETFの本質的な意味を汲んだ上で、それぞれを、一言で表現するなら、この言葉が、一番しっくりきています。
みなさんは、どうでしょうか?
もっと、いい表現があれば、是非、コメントお願いします。
最後に
・最後まで読んで下さり、本当にありがとうございます。
・本記事では、それぞれのETFの本質的な考え方をテーマにしました。
最新実績など数字を踏まえた上での、ETFの比較についての記事は、今後、更新します。
・また、私の知識や表現力がアップデートしたり、最新の情報が更新されれば、本記事も、随時、リライト更新します。
・そして、この記事が、読まれた方の、投資などの参考になれば嬉しいです。
・当記事は、2022年8月、私の別のブログの記事をリライトしたものです。